こちらの記事に興味を持って頂きありがとうございます。
キャリアコンサルタントの渡邊です。
今日はキャリアコンサルタントのお仕事についてお伝えさせて頂きます。
「キャリアコンサルタント」という名称には「コンサルタント」と付いています。
なので、キャリアコンサルタントの仕事は「キャリア」を「コンサルタント」するお仕事だと思われがちなのですが、これが違うんです。
何がどう違うのかを今日はお伝えさせて頂きます。
キャリアコンサルタントの仕事は何?
キャリアコンサルタントの仕事は、キャリア形成への悩みや課題を抱えた相談者の相談にのり、支援を行う事です。
相談者の悩みや課題を解決するのは「コンサルタント」も同じです。
では、何が違うのでしょうか?
それは、解決の手法が違うんです。
コンサルタントは、相手の状況や環境などの情報を聞き、それに合わせて自分の持っている経験や知識の中で分析し、相談者に解決方法を提供します。
我々、キャリアコンサルタントは、相談者に解決方法を提供はしないんです。
代わりに、相談者自身が持っているであろう解決へのヒントに気付いてもらうようにアプローチします。
一般的なコンサルタント・・・相談者の状況から分析を行い、解決法を提案する。
キャリアコンサルタント・・・相談者自身が持っている解決法に気付く支援をする。
では、どうやって相談者自身の気付きを引き出すのでしょうか?
相談者の気付きを引き出す傾聴
キャリアコンサルタントが相談者の気付きを引き出す手法は、「傾聴」というコミュニケーションスキルを使います。
傾聴とは、「耳」だけでなく、相談者に「体」や「心」を傾けて話を聴く技法を言います。
傾聴で話を聴く事により、相談者の心を開き、積極的な姿勢をつくり、変化を引き出します。
なんだか、これだけ聞くと、「ようするに話をしっかり聞く、聞き上手って事?」「それなら私もけっこう自信がある!」って人もいるのではないかと思います。
ところが、この傾聴とは非常に奥が深い!
傾聴とは技術ではない!
ネットで「傾聴」を検索すると、以下の様な事がよく出てくると思います。
- 目を見て話を聴きましょう
- 頷き、相づちを使いましょう
- 話を繰り返す、言い換えをすしましょう
これらは、話を聴く技法として間違いではありません。
ですが、傾聴の根本は、話を聴く心の姿勢にあるのです。
アメリカの心理学者にカール・ロジャースという方がいます。
カウンセリングの祖と呼ばれている方で、「来談者中心療法」を創始されました。
カール・ロジャースの傾聴
カール・ロジャースは、それまであった指示的カウンセリングのような、カウンセラー側から指示や助言をするカウンセリングではなく、非指示的カウンセリングを広めた人物です。
相談者に最も変化を与えるのは、具体的な指示や助言ではなく、耳を傾けて理解し、それが伝わるという「共感的傾聴」こそが、複雑な人間心理への作用が大きいという考えです。
ロジャースが提唱した内容としては、カウンセラー側の知識の量や権威は不必要で、代わりに3つの要素が求められます。
「無条件の肯定的関心」「共感的理解」「自己一致」この3つが重要であるとされています。
- 無条件の肯定的関心
- 共感的理解
- 自己一致
この、「無条件の肯定的関心」「共感的理解」「自己一致」は言うは易し、行うは難しで、非常に奥深いのです。
無条件の肯定的関心
無条件の肯定的関心とは、相手のありのままを肯定的に関心を寄せる事です。
簡単なようで非常に難しいんです。
無条件とは、「良い」も「悪い」も「好き」も「嫌い」も判断しない、評価しないという事です。
人間、相手の話に反応してしまうもの。ついつい判断、評価をしてしまいます。
相手の話を聴いている時に、「あんまり良い事じゃないな、、、」とか「自分ならこうするな、、、」とか考えていませんか?
これらの反応を全て排除し、無条件に相手の話に関心を寄せて聴くのが傾聴であるという事です。
そして傾聴では、相手を探ろうとしてはいけません。
自分が聞きたい事を質問していませんか?
解決の為の必要な情報を集めようとしていませんか?
相手の話したい事を話させてあげて、それに関心を持つ姿勢で話を聴くのが傾聴です。
共感的理解
共感的理解とは、相手の立場にたって、相手の気持ちを理解しようとする姿勢です。
傾聴とは、相手を理解しようとする事に終始します。
問題や課題を解決しようとして話を聴く事ではありません。
共感に関しては、こちらの記事で詳しく書いております。↓↓↓
自己一致
自己一致とは、自分が感じている事と言葉や行動が一致している事です。
「あなたの話を聴きたい。」と言った時に、心の底からそう思っているか?という事が傾聴では問われるのです。
傾聴する場合、「その話、わかります。」と言うなら、本当に心の底から理解していないと言ってはいけないという事です。
つまり、傾聴する側は、相談者に対して心からの興味や関心がないと、自己一致という条件が達成されなくなるという事です。
興味深い矛盾とは、自分が自分自身を受け入れた時、自分が変化できることである。
カール・ロジャース
こうした話を聴く側の自己一致が、相談者の自己一致を引き出し、相談者の変化や精神的成長を促すのです。
まとめ
今日は、キャリアコンサルタントの相談者への向き合い方についてをお伝えさせて頂きました。
キャリアコンサルタントとは、名称に「コンサルタント」と付いていますが、基本的に助言や提案を行わないアプローチだという事がご理解頂けたかと思います。
そして傾聴とは非常に奥深きものです。
我々キャリアコンサルタントが、真の「無条件の肯定的関心」「共感的理解」「自己一致」の姿勢を実践できるようになれば、多くの相談者の悩みを解決する一助となると私は信じています。
それではまた!
国家資格キャリアコンサルタント 渡邊 和真