国家資格キャリアコンサルタント 大野 丈

私と同じ国家資格キャリアコンサルタントをお持ちの方です。

会社員として仕事をしながら個人としても多くの交流会を開き、人と人との出会いや新しい価値観との出会いをプロデュースしておられます。

会話で相手の話を引き出す事が上手く、インタビューしていた渡邊がいつのまにか色々と気分良くお話しする事になってしまいました(笑)

活動原理が近い事もあり僕も手本になる事が多く、インタビューの書きおこしをする中で考え方の広さや深さが改めて理解できました。

今日はそれを少しでもお届けできればと思います。

お仕事について

美容業界専門の人材派遣会社でキャリアコーディネートをしています。

美容業界専門って珍しいですよね?
今の会社に入るきっかけを教えて頂けますか?

以前、化粧品のメーカー営業をしていた経験があります。

その為、店頭で化粧品販売をする人達の事も少し理解があるんです。

実は化粧品の販売職って離職率が50%を超えているんですよ。

要因の1つは給料の低さや拘束時間などの待遇面。
もう1つは、マネジメント層が数字に強い人間が選ばれている事です。

限られた人数で働く中、マネージャーの素質が人のマネジメント能力ではなく、どれだけ化粧品を販売したかという売上基準で選ばれています。

その為に出来る人が出来ない人の気持ちを汲んであげられない、ディスコミュニケーションの状態が生まれて雰囲気が良くならないという問題があります。

マネージャーの基準の話は化粧品販売員だけではなく他の仕事にも当てはまりそうな問題ですね。

そうですね。
本来の美容って女性の外見だけでなく心までも美しくするという掛け替えのない仕事だと思います。

そんな仕事に携わっている美容部員の人達が報われないのを変えたい。
そんな会社のmissionに共感を持って入社しました。

せっかく美容に興味を持った人が最大限の自分の可能性にチャレンジできる環境を作るお手伝いがしたいと思っています。

素敵なmissionですね。

僕も人材業界に身をおいている人間なのですが、実際に求職者に寄り添った活動をしている会社は少ないですよね?

本当にそう思います。
だから今の会社の求職者に振り切った姿勢は素晴らしいと思います。

「人の可能性にチャレンジする環境づくりのお手伝いをしたい」というのが仕事においても個人の活動においても大野さんのやりたい事だと思うのですが、いつ頃からその様なイメージを持っておられたんですか?

化粧品メーカーの営業職の後、アスリートのキャリア支援をしている会社に勤めていました。

その頃での成功体験がきっかけですね。

では、次はそのお話を聞かせて下さい。

人は環境で変わる

アスリートのキャリア支援をする会社に勤めていた頃に大きな出会いがありました。

その出会いが自分にとって1番の転機になったと思います。

どの様な出会いなのですか?

職場の社長から、あるサッカー選手の面倒をみる様に頼まれました。

彼はそれまでの人生をサッカーに捧げており、狭い価値観の中で生きていました。

そこで僕と二人三脚で活動したり環境を与える事で、彼の価値観が大きく変わりました。

人が環境によって大きく変わるということを目の当たりにする事で、
「これはヤバい!凄いな!」と思いましたね。

自ら、人に良い影響を与える環境を提供できる様になりたいと思う様になりました。

その方にとっても素晴らしい経験になった事と思いますが、それがそのまま大野さんにとっても大きな転機になっているんですね。

その経験があって人材の仕事に興味を持ち、先程の美容業界の人材会社への転職に繋がっていきます。

なるほど、綺麗に繋がっていますね。

そのサッカー選手の方へ与えた環境について教えて頂けませんか?

3つ有ります。

1つは徹底的に自分の内省を行なってもらいました。

彼は「何故サッカーをしているのか?」という問いに対して明確な答えを持っていませんでした。

それを、改めてサッカーをする意味について棚卸しをしてもらいました。

いわゆる自己分析ですね。
確かに今の自分がやっている事の意味を明確に答えられる人って少ないでしょうね。

2番目はどんな事ですか?

2つ目は、色んな人と会って話してもらいました。

自分の持っている人脈の中で「面白い人」「自分を持って生きている人達」を中心に紹介し、とにかく会って話をしてもらいました。

そういう人との交流を経て、新しい価値観に触れ、そのうち自ら新しい人との出会いを求めて交流会などにも参加する様になりました。

人との出会いから得るものは大きいですよね。

サッカーを知らない人との交流からも得るものが大きかったみたいですね。

自分の大好きなサッカーを知らない人にどうやって面白さを伝えるかを考えるきっかけになった様です。

なるほど〜
では、最後の3つ目はどの様な内容ですか?

3つ目に会社として1円でも売上を上げられる企画を考えてもらいました。

2つ目の課題で沢山の方と接する内に、彼の中でサッカーを知らない人達に素晴らしさを広めていきたいという思いが芽生えていました。

それをフットサルイベントとして初心者や運動が苦手な方向けにコーチングをするという形でイベント企画をする事になりました。

集客やメニュー作りなど、経験の無い彼に1人で考えて実行してもらいました。

実際に考えて行動するという挑戦を行ってもらったんですね。

実際、彼も試行錯誤を繰り返しながら頑張ったと思います。

当日の話ですが、努力を神様は見ていてくれるなと思いました。

当日の天候はあいにくの雨。
普通のフットサルイベントで雨となるとキャンセルされる事も多くなりがちです。

ところが彼自身が声を掛け続けて集めたメンバー30人は仕事で来れなかった1名以外、天候が理由のキャンセルを出す事なくイベントは開催されました。

イベント後の評価も素晴らしく、企画した会社の評価にまで繋がりました。
結局、懇親会の費用を会社で負担した事で赤字だったんですけど(笑)

終わった後、彼の感想は今も覚えています。

「こんなにも人の笑顔を見るのが幸せだという事に気付きました。」

自分の為に生きてきた中で、人を幸せにする喜びを感じる事ができたという事でしょうか。

大野さんが彼の人生を変えるきっかけを作ったんですね。

そうですね、彼が良い方向に変わったのはとても嬉しかったです。

ただ、それと共に不安も感じました。
今回は上手くいったから良かったけど他の人なら上手くいかなかったかもしれない。

人の人生に関わる事の重さも感じました。

それがきっかけで人材業界にいこうと思ったのですか?

そうなんです。
その後、彼がオーストラリアにプロサッカー選手として海を渡ったタイミングで、自分も体系的に人のキャリア支援を学びたいという事で人材業界にチャレンジして今に至ります。

昔からその様に先の人生を見据えてキャリアの選択をしておられたのですか?

昔は全然でした。
ちゃらんぽらんでしたよ。

自分のキャリアを見つめ直すきっかけ

昔はちゃらんぽらんだったというのは意外ですけど、どの様な事がきっかけで自分を見つめ直す様になったのでしょうか?

化粧品メーカーの営業職の時の話です。
給料も良いし仕事も早く終わってたんですが、なんかモヤモヤする自分がいるんです。

最初は彼女とか友達とか身近な人に相談しました。
でも、原因が分からないんですよね。

「そんな会社で働けてめっちゃ良いやん。」とか「こっちはもっとしんどい中で働いているんやで。」みたいに言われました。

「僕がおかしいのかな?」とも考えましたね。

「こんな恵まれた中で満足しきれない自分て何なんだろう?」ってモヤモヤしてました。

どうやってそのモヤモヤを整理したんですか?

各地のセミナーに行き出しましたね。

知らない事を知る為の時間を作ればモヤモヤを忘れられると考えての行動だったと思います。

10回行って1回価値あるものに出会えるかどうかでしたが、それでも半年間は仕事を終えたらひたすらセミナーに出掛ける毎日でした。

何か見つかりましたか?

通っている内に1つの事に気が付いたんです。

名誉とかじゃなく、自分で自分のありたい世界を実現する為にただ汗をかいている人に自分は心を動かされるなと気付きました。

「志」みたいなものかもしれません。
当時の自分は持ち合わせていなかった事でした。

志を持っている人とは話しているだけでワクワクしますね。

そうなんですよ。

そして、そんな人達の元には志を共にする本当の仲間が集まって来るという事にも気付きました。

友達とかじゃなくて、その人の夢に付いて行くみたいな。
きっとこの人が苦労したり、失敗しても多分付いて行くんだろうなと思いました。

この事にも危機感を感じました。
自分には友達はいるけど、こんな仲間が周りに居ないなと。

こういう人達との繋がりを作らないと人生が不幸になる。
今の自分の考え方や行動を変えないといけないなと思いました。

その感覚はとても解ります。

そして自分の無知さを知りました。

それと共に無知な自分を肯定できる様になりました。
「無知な自分だから色んな新しい事に出会えるやん。」と感じる様になりましたね。

それからは自分の好きな事以外にも興味が持てる様になりました。
「どこかに自分の出会ってない好きな事が落ちているんだろうな。」と思う様になりました。

この半年間を経て自分のキャリアを見つめ直す様になり、会社を辞めて大学院で学ぶ道を選びました。

スポーツが好きだった事もあり、立命館大学のスポーツ健康科学研究科に入学。
そこで、スポーツを中心とした「きっかけづくり」の活動を始める事になります。

スポーツを通した「きっかけづくり」

スポーツを中心とした「きっかけづくり」は何故始めたのですか?

元々のきっかけはフットサルでコンパした事です。
不純な動機で(笑)

しかも、その頃はギャルが大好きだったのでフットサルなんかやりたくないというギャル達を呼んでのフットサルコンパでした。

普通のコンパをやり過ぎて飽きてしまったんですよ。

興味のない子達でやるのは大変ですよね?

声を掛けたギャル達は、
「やった事ない。」
「しんどそう。」
「足を引っ張りそう。」
みんなこう言います。

そんな子達を呼んだからには、僕はプレーもせずに全力で彼女達を楽しませる事に集中しました。

男性陣にもフットサルを楽しむのではなくて、女性を楽しませる事を強要しました(笑)

結果的に全員が「めっちゃ楽しかった。」って言ってくれたんです。

徹底的に女の子を楽しませるというコンセプトを追求したという事ですね。

この時はコンパだったんですけど、先程の「志」について考え始めた頃にこの経験を思い出し、「スポーツを通して人を喜ばせたい。」という方向性が定まり大学院進学のきっかけになりました。

そして大学院に在籍している頃に先程のコンパの「女の子を楽しませる」というコンセプトを「スポーツが苦手な人」とか「初心者」を主役にしたイベントをしようと思い始めました。

ありがたい事に毎回多数の方が参加してくれて、大学生と社会人が共に楽しめる場という事からスポーツの力の偉大さを知り、そこからNPOの方や障害を持たれている方を呼んで交流を深める様な形にも発展していきました。

今では活動により産んだ利益を養護学校に寄付する事も始め、今後も続けていきたいと思っています。

夢は?

目の前の人が持っている可能性を最大限引き出したり、その人自身が最高に幸せだと胸を張って言える人を増やす活動をしたいですね。

大野さんらしい活動ですね。

その為に自分ができる事は、目の前の人を幸せにする事だと思っています。

僕が目の前の1人を活き活きと輝かせていれば、それが隣の人に波及すると思っています。

だからこそ目の前に居る後ろ向きになっている人達に前を向いてもらうお手伝いをしていきたい。

その手段としてキャリアコンサルタントであったり、イベントであったりが今できる事なんですが、他にも手段はあると思うのでもっと選択肢や支援できる為の武器は身に付けていきたいと考えています。

目の前の1人を支援する事で幸せが波及していくという考え方は凄く実感がありますね。

僕の今の思いや大野さんの思いも人から波及されてきた事ですもんね?

その通りです。
今日お話をさせて頂いた通り、色んな人から影響を受けて今の自分があります。

今度は自分が少しでも人に良い影響を与えていければ良いなと思っています。

インタビューを終えて

「目の前の人の可能性を引き出す事」「幸せだと胸を張って言える人を増やす活動」は僕の考えや活動とも共通点が多い事もあって色々と勉強になりました。

実はインタビューの後に大野さんの主催されている交流会に参加させて頂いたのですが、非常に良い出会いがありました。

交流会のクオリティは主催者のコンセプトやファシリテーション次第で大きくクオリティが変わると思っています。

インタビュー中の話にもありましたが、参加者の方々に全力で楽しんでもらおうとする姿勢や動きがあり、素晴らしいと感じたのを覚えています。

今後、1度は一緒に活動もしてみたいですね。

色々と吸収させていただきたいです。

それでは、また!

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