こちらの記事に興味を持って頂きありがとうございます。
キャリアコンサルタントの渡邊です。
私は会社において経営を考える立場にあり、よく悩まされてきた問題があります。
それは、チームマネジメントにおいて、ルールでチームをコントロールするのか、モラルでチームをコントロールするのかという事です。
人は、多くの場面において組織で動きます。
学生の方なら部活やサークルで、社会人なら仕事のチームなどで、多くの場合は組織で動くのですが、人が集まればルールやモラルというものでマネジメントする必要があります。
似ているようで、全く異なる「ルール」と「モラル」、どう付き合うのがベストなのか、より良いチームを目指すには必要なのかを個人的見解で書いていきたいと思います。
ルールとモラルの違い
まずは、ルールとモラルの違いを明確にします。
ルール | モラル | |
---|---|---|
遵守すべき基準 | 明確なラインが決められている | 個人の価値観や道徳で変わる |
違反した場合 | 罰則が発生する | 特になし |
規範意識 | 受動的 | 主体的 |
遵守すべき基準
ルールにおいては、基準を明確に定める事が多く、良い悪いの判断がわかりやすいのが特徴です。
チーム全体の共通意識もズレがない為、処罰対象も明確です。
対して、モラルの守るべき基準は、個人の裁量による事が多いです。
例えば、人に「嘘をつく」事を悪いと考える人もいれば、必要に応じて問題ないと考える人もいます。
明確な基準が無いので、責任の所在やそもそも処罰対象なのかも意見が分かれてしまいます。
違反した場合
ルールを違反した場合は罰則があります。
その為、ペナルティーを避ける為の抑止力が働きます。
モラルに違反した場合には罰則はありません。
その為、抑止力は働かないのかと言われるとそうでもありません。
チームの中でモラルが守れない人は、排除されたり、信頼のおけるポジションや仕事を任せられないなどが考えられる為、明確さはないものの、一定の抑止力が働きます。
規範意識
ルールは基本的に組織から示されるものなので受動的になります。
その為、意にそぐわないルールなどにより、メンバーのモチベーションを下げる要因になるケースも考えられます。
モラルは、個人の価値観で判断を行うので主体的になります。
メンバーそれぞれの価値観や道徳感が問われますが、機能すれば組織に誇りが持てる対象にもなりえます。
ルールとモラルどちらが組織に有益なのか?
これは非常に難しい問題ですね。
マネジメントするなら、ルールを作る方が簡単で管理も楽になるのかもしれません。
ですが、人間はルールで縛られ過ぎると息苦しさを感じてしまいます。
学校の校則なんかにも、みんな良い記憶はないのではないでしょうか?
それならモラルに頼った組織はどうなのでしょうか。
日本人はモラルを重視する国民性もありますし、上手くいくかもしれませんね。
ですが、個人によって価値観や道徳観に大きく差があるのも事実です。
それにより、「こうするのが普通じゃないの?」と思い込みが全ての人に適用されないという不具合が発生する事もあります。
モラルというのは共通意識が揃っているなら良いのですが、個人によって違うなら思い通りに作用してくれないのです。
では、どうすればよいのでしょうか?
組織としてのモラルをつくる
私なりのルールかモラルかの答えは、組織としてのモラルをつくる事がベストではないかと考えます。
ルールばかりでは息苦しいですし、個人のモラルに任せていても思い通りの効果を生む事ができない事があります。
それなら、その組織なりのモラルをつくっていくのがベストなのではないかと思います。
企業文化を育て、組織のビジョンに合わせた行動指針を定めます。
ビジョンとは、組織のありたい姿。
そのビジョンの為に必要な考え方や行動を定めるのが行動指針です。
企業のモラル=行動指針
これは、言うが易し、行うは難しというもので、行動指針を定めるだけでは不十分で、メンバーが共感し、浸透させなければ上手く機能しません。
その為には、ボトムの意見を取り入れたもので、定期的に行動指針を浸透させる教育プログラムも併せて必要になります。
行動指針は組織の質を高める
こうした行動指針にはメンバーの主体性を失わずに、自発的な行動や積極性を生み出します。
これらの主体性をもったメンバーはモチベーションもあり、生産性も高くなります。
ルールで管理しすぎず、かつ個人に任せすぎず、主体性を持たせる事が組織の質を高めるガイドラインなのではないでしょうか?
皆さんが組織をつくる上でお役に立てれば幸いです。
それではまた!
国家資格キャリアコンサルタント 渡邊 和真