こちらの記事に興味を持って頂きありがとうございます。
キャリアコンサルタントの渡邊です。
今日は、「選択の自由」について考えてみたいと思います。
選択の自由とは?
選択の自由とは、人が2つ以上の選択肢の中から、何の干渉も受けずに選択できる自由が与えられている状態です。
選択の自由といっても様々な選択がありますが、キャリアと言えばまずは職業選択の自由が思い浮かびます。
他にも結婚のパートナーを選択する自由や、入学する学校を選択する自由、どこに住むのか居住場所の選択の自由、何を信じるのか宗教選択の自由など、現代では多くの事が自由に選択できる時代になりました。
人は選択の自由を求める
昔は、今よりも自由が制限されていました。
以前と比べれば人は多くの選択の自由を手に入れたと言えますが、今でも自由に選択ができていない事があり、人々は更なる自由を求めています。
「安楽死」、「緊急避妊薬」、「同性婚」、「選択的夫婦別姓」なども選択の自由を求めて議論され続けていますね。
マジョリティな自由の多くが保障されてきたので、徐々にマイノリティな選択の自由を求める声が大きくなってきた印象を受けます。
人が幸福感を得るには、所得や地位もあるかと思いますが、この選択の自由が強い影響を与えているという事も判明しています。
その為、これからも今まで以上の選択の自由を求め続けていくのだと思います。
ですが、本当に選択の自由が幸せに繋がっているのでしょうか?
選択の自由が無かった時代
昔の話ですが、封建時代において、職業選択の自由はありませんでした。
自分たちの領土に必要な人員を確保する為に、職業や住む場所も固定されていたのです。
現在では、日本国憲法22条第1項で職業選択の自由が保障されています。
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する
日本国憲法第22条第1項より
昔は結婚相手も政略結婚などでパートナーを自分で選択する自由もありませんでした。
日本でも少しひと昔前までは親が決めた相手と結婚する夫婦も少なくなかったですね。
確かに、選択の自由は少なかったと言えます。
「自分で選びたい」と多くの方が望んだ事と思います。
ですが、昔の人達は自分の置かれた環境や状況の中で「どうすれば幸せになれるか?」を追求する事ができたのではないでしょうか?
不自由だからこそ掴めるものもある
選択の自由があるからこそ、人は安易に選択し、間違えたと感じたら別の選択肢を取るという一面もあるのではないでしょうか?
人は選択ができなければ、置かれた環境や状況の中で何とかしようとするものです。
転職という逃げ場が無いから今の職場で頑張れた人もいる
以前、キャリア相談を受けた人の話です。
その方は転職回数も多くて面接も苦手な人で、何社も面接を受けて不採用が続いたそうです。
その中で、ようやく採用してくれる会社が現れて仕事が決まったのです。
しかし、いざ入社してみるとイメージと違う事も多く、最初は何度も辞めようか考えたそうです。
ですが、何社も面接を受けてようやく決まった会社でまた辞めたら、もうどこも自分を雇ってくれる場所が無いんじゃないかと思って続ける事にしました。
そのうち、自分にはここにしか居場所が無い以上、どうにか少しでも自分で環境を良くしようと考えるようになったのです。
今までは、会社の環境や人に問題があるから転職しようとしていたのが、自分のできる事だけでも変えようと考えるようになりました。
もちろん、自分が影響を与えられる範囲など最初はたかがしれてました。
それが、自分のできる事に注力していると、徐々に自分の影響を与えられる範囲が広がり、自分に変えられる事が増えていったそうです。
いまだに全てに満足しているわけではないそうですが、あのまま転職を繰り返していたら、ずっと環境や状況のせいにして生きていたのではないかと思うそうです。
選択の自由が無いからこそ気付ける事もあるかもしれませんね。
他にもある選択の自由の弊害
現代では、離婚率の高さなども問題視される事もありますが、これも選択の自由による弊害があるのではと思います。
昔は、家が決めた相手と結婚していましたが、相手が決まっている以上、その相手と幸せな家庭を築くしかないわけです。
その相手と一生添い遂げる覚悟を持っていたのではないかと思います。
実際に決められた相手との結婚だった人の話を聞いた時に、幸せそうな人が沢山おられますよね?
ちなみに、日本は遅れていると言われる女性の社会進出ですが、それでも以前と比べて女性の選択肢は格段に増えたと言えます。
ですが、35年前と比べて女性の幸せ度は低下しているという研究結果も出ています。
もちろん要因は他にも考えられますが、選択の自由が増えて幸せ度が低下しているのは不思議ですね。
最後に
人は自由を望むものなので、それは変えるのは難しいですし、自由が与えられれば満足します。
私もこの様な記事を書きながらも、現在の選択の自由が無くなるなら不満です。
ですが、自由がきっかけで失われているものもあるという事は頭に入れておいた方が良さそうです。
これが、現代に生きる自分たちが忘れてしまいがちな事であり、選択の自由が発展した事による呪いではないかと思います。
実際に、満足するキャリアを歩んでいる人達の共通点は、自分の置かれた環境の中で自分のできる事を探して、キャリアを切り開ける人だと思います。
そんな方たちには、置かれた環境や状況は関係ないのかもしれないと感じる時もあります。
もちろん、環境や状況を変える事で解決する問題もたくさんありますので、選択の自由がある事自体は良い事だと思います。
ですが、選択の自由があるとはいえ、安易な選択はせず、選択を間違えたとしても「自分にできる事はないか」と考えるという事も忘れないようにしたいですね。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
この記事が、あなたのキャリアにプラスになれば幸いです。
それではまた!
国家資格キャリアコンサルタント 渡邊 和真