こちらの記事に興味を持って頂きありがとうございます。
キャリアコンサルタントの渡邊です。
今日は、フロイトの原因論とアドラーの目的論についてお伝えしたいと思います。
心理学の有名人といえば、フロイト・ユング・アドラーの三大巨匠です。
フロイトの弟子であったユング、共同研究者であったアドラー、同じ時代に近しい距離で研究を行っていた3名ですが、それぞれが異なるアプローチを行う様になります。
その代表的なものがフロイトの原因論とアドラーの目的論です。
まずは、原因論と目的論の内容からお伝えしていきます。
フロイトの原因論
原因論は、心理学者・精神科医であるジークムント・フロイトによって提唱されました。
原因論では、「何か原因があって結果がある」と考えます。
そして、原因論のカウンセリングでは、結果に繋がった原因を探ります。
その原因を消去や上書きすれば、結果が変わるというアプローチを行います。
ビジネスにおいても一般的に使われる手法です。
【例1】
(原因)
過去に犬に噛まれた経験がある
(結果)
犬が苦手
【例2】
(原因)
過去に事故の映像を見た事がある
(結果)
ジェットコースターに乗れない
「何か普通の事じゃないか?」と感じる方も多いのではないでしょうか?
つまり、世の中には原因論が一般的に浸透しているという事です。
「売上が上がらない!」⇒「何故、売上が上がらない。原因は?」と原因を探しますよね?
「仕事でミスした!」⇒「原因は何?」と上司から原因を聞かれまよね?
今の世の中は「原因論」という考え方が一般的なんです。
原因論を否定したアドラーの目的論
目的論は、心理学者・精神科医であるアルフレッド・アドラーによって提唱されました。
アドラー心理学をテーマとした「嫌われる勇気」という本が爆発的に売れた為、ご存じの方も多いと思います。
アドラーは原因論を否定しています。
目的論では、「原因があって結果が作り出される」ではなく、「何か目的があってその結果を作り出している」と考えます。
目的論のカウンセリングでは、「クライエントの考え方や価値観が、結果に繋がっている」と考えます。
その考え方や価値観を修正すれば、結果が変わるというアプローチを取ります。
【例1】
(目的)
「獣の匂いを嗅ぎたくない」「ベロベロ舐められたくない」等の何らかの目的
(結果)
犬が苦手
【例2】
(目的)
「ふわっとする感覚を味わいたくない」「並びたくない」等の何らかの目的
(結果)
ジェットコースターに乗れない
結果は原因論と同じです。
例1を比べると、結果はどちらも「犬が嫌い」です。
原因論で考えると、「犬に昔噛まれた」という原因があり、「犬が嫌い」という結果になったという事になります。
目的論で考えると、「獣臭を嗅ぎたくない」等の何らかの目的から、「犬が嫌い」という結果を作り出しているという事になります。
目的論では、「結果に原因は関係なく、今の考え方や価値観でどうなるかを選択しているに過ぎない。」という事です。
アドラーが原因論を否定する理由は、原因が全てに当てはまらないからです。
犬に噛まれたという原因で犬が嫌いになるのなら、犬に噛まれた人が全員犬が嫌いになるのでしょうか?
確かに違いますね。
なので目的論としては、「犬に噛まれた事のせいにしているが、本当は何か別の目的があって、犬が嫌いという結果になっている。」となります。
厳しいようで、人間の可能性を信じている前向きな姿勢を感じますね。
人間は、問題を何かのせいにして生きています。
「私は人と話すのが苦手だから、、、」
「私は頭良くないから、、、」
これらの原因を、アドラーの目的論は徹底的に否定します。
「貴方は原因のせいにして、甘えているだけだ!」という感じです。
厳しく胸に突き刺さる様な内容ですが、「過去の原因に囚われずに、今の自分の気持ちに向き合いなさい。」とアドラーは言っているのです。
中々の納得感ですね。
「嫌われる勇気」が人気になったのは、原因論が一般的だった世の中で、こういった新鮮な考え方に納得感があったからでしょう。
では、目的論で考えるのが正しいのでしょうか?
原因論と目的論のどちらが正しい?
アドラー心理学の考え方は、新鮮ですし、納得できますが、全てにおいて適応される事なのでしょうか?
アドラー心理学を学ばれた方は、原因論を否定し、全てを目的論で語られる方もおられます。
その一つの要因としては、原因論はネガティブな発想になりがちですが、目的論ではポジティブな発想になりやすいというのがあると思います。
ですが、私の個人的な見解としては、どちらも必要な考え方であり、アプローチの手法ではないかと考えています。
物事には、何かの原因があって発生する事は事実です。
確かにそれが今に関係しているかは、事象によると思います。
なので、今起きている問題や課題が、発生の原因による事なのか?(原因論)それとも、今の考え方や価値観による事なのか?(目的論)をしっかり見極める事が重要なのではないでしょうか?
原因論と目的論は、どちらかが必ず正しいものではありません。
課題解決の為に、視点を変えた別々のアプローチというだけだと思います。
普段から、原因論で物事を考えがちな方は、目的論で考えてみると、「今まで考えもしなかった新しい発想」ができるかもしれません。
目的論を学んだ方も、それに縛られず、「原因を検証する事で見えてくる事もある」という柔軟な思考を持ってみるのが良いのではないでしょうか?
ここまでお読みいただきありがとうございます。
この記事が、あなたのキャリアにプラスになれば幸いです。
それではまた!
国家資格キャリアコンサルタント 渡邊 和真