知っておきたい大人の教養 ブッダの教えと日本の仏教

こちらの記事に興味を持って頂きありがとうございます。

キャリアコンサルタントの渡邊です。

今回は、日本の宗教である仏教について書きたいと思います。

日本人は無宗教と言いますが、観光で色んなお寺を訪れたり、葬儀を仏式で行ったりと日本の文化として日常的に関わっているのが仏教です。

そんな、仏教を大人なら知っておきたい教養として基本だけでもこの記事で学べる内容にしたいと思います。

仏教とは?

仏教は、インドを起源とし、開祖であるブッダ(釈迦シャカ)の教えを広めるものです。

煩悩に縛られた迷いある世界の中で、「輪廻転生(りんねてんしょう)」(生まれ変わりを繰り返す)という苦の輪の中から、「解脱(げだつ)する」(悟りを開き解放される)ことを目指します。

「人生は苦である」と捉えているのが特徴的ですね。

苦の原因が煩悩であり、修行して悟りを開く事によって苦を滅し、輪廻の輪から解き放たれた苦のない世界に到達できると考えられています。

そして仏教は、キリスト教イスラム教と並ぶ、世界三大宗教でもあります。

仏教キリスト教イスラム教
信仰対象なし(仏様)三位一体の神アッラー
開祖仏陀(釈迦)イエス・キリストムハンマド
聖典仏典(三蔵)新約聖書コーラン
教徒約4億人約20億人約15億人

信仰対象

仏教は本来、信仰対象はありませんでした。

それは先述の通り、悟りを開き、輪廻転生の輪から解脱することを目的としているからです。

ですが、現在の日本に伝わる仏教の多くでは、仏陀(ブッダ)菩薩を信仰対象としています。

歴史による仏教の変化は後ほどお伝えします。

開祖

開祖は仏陀(釈迦)です。

本名はゴータマ・シッダールタと言い、サーキャ族の王子として生まれ、世の苦しみとはかけ離れた暮らしをしていました。

そんな中、城を出たシッダールタは、世界のという苦しみがある事を知り、その後、出家者と出会った事がきっかけで城での生活を捨てて、修行の旅にでます。

その後、悟りを開き、弟子たちに口伝され、様々な解釈から世界に広がったのが今の仏教です。

ちなみに我々は、仏陀(ブッダ)や釈迦(シャカ)と呼んでいますが、名前ではありません。

意味は以下の通りです。

仏陀「目覚めた人」「真理を悟った人」

釈迦「釈迦牟尼世尊(しゃかむにせそん)」の略称

釈迦=サーキャ族

牟尼=聖者

世尊=世の中で最も尊い存在

釈迦牟尼世尊世の中で最も尊いサーキャ族の聖者

聖典

聖典とは、その宗教における伝承をまとめた書物教えやきまりを説いた書物を指します。

残念ながらブッダの書き残した書物はありません。

ブッダの弟子が残した口伝を信徒達がまとめたものが受け継がれていきました。

これらの仏教の教えをまとめた教典を総称して三蔵と言います。

三蔵とは、「経蔵」「律蔵」「論蔵」の3つのことです。

経蔵=ブッダの説いた教えをまとめたもの

律蔵=修行者の規則や道徳をまとめたもの

論蔵=上記の2つを注釈や解釈したものを集めたもの

西遊記でお馴染みの三蔵法師は、上記の「三蔵に精通した人」という意味なんです。

教徒の人口

世界三大宗教に数えられている仏教ではありますが、教徒の人口という意味では約4億人世界第4位となります。

1位はキリスト教の約20億人、2位はイスラム教の約15億人です。

仏教は、インド発祥であるものの、現在はインド人の多くがヒンドゥー教を信仰しており、10億人以上の教徒がいる為にヒンドゥー教が第3位となります。

現在の仏教の分布は、東南アジア諸国に伝えられた上座部仏教東アジア諸国に伝わった大乗仏教に分かれます。

上座部仏教と大乗仏教

ブッダが入滅(解脱を果たし、生死を超越した境地に達した)後、教団が分裂しました。

ブッダの説いた戒律に対して、厳しく守るべきと主張する派閥と、土地や状況に応じて変化させるべきと主張する派閥で、戒律の解釈にも差がでてきたのです。

上座部仏教

上座部仏教とは、ブッダの説いた戒律を重んじて厳しく守るべきと主張した派閥です。

信徒は、戒律を重んじて悟りを得る為の修行に没頭し、法解釈の「論蔵」編纂に没頭するようになりました。

この上座部仏教が、スリランカに渡り、そこからタイミャンマーラオスカンボジアベトナムなどの東南アジアに伝播しました。

日本のお寺と東南アジアのお寺って全然雰囲気が違いますよね?
これは、伝播された仏教が違うからなんです。

大乗仏教

大乗仏教とは、土地の文化などに合わせて戒律も変化させるべきだと主張した派閥です。

更に、信者から施物をもらいながら自身の修行に没頭する上座部仏教に対して、他者を救済する「利他」の修行を行う事で悟りを開けると考えました。

この大乗仏教が、中国から朝鮮半島、やがて日本などの東アジアに伝播されます。

本来は、修行者が仏に至るという考えが仏教だったのですが、日本には大乗仏教が伝わった為に、「修行者以外の人も救われる」という仏教も広まっていきました。

日本の仏教

日本の6世紀に伝播された仏教は、対立がありながらも次第に受け入れられることになりました。

その後、飛鳥時代の聖徳太子によって、仏教思想の政策が採られます。

遣隋使の派遣朝鮮半島との交流で仏教の教えを吸収し、法隆寺四天王寺を建立します。

みんなが歴史の授業で習った「十七条の憲法」の第二条では、仏教精神を尊ぶべき価値と示しています。

篤く三宝を敬え。三宝とは仏と法と僧なり、、、

十七条の憲法 第二条より抜粋

さらに奈良時代では、仏教は国家の統制に用いられます。

聖武天皇により国家鎮護の為、日本各地に国分寺が建立され、総本山を奈良の東大寺としました。

これにより、日本において仏教の地位が確立することになるのです。

平安時代の仏教

奈良時代に融合した政治と仏教でしたが、宗教が権力を持つ事で国が腐敗していきます。

そして、政治の刷新を図った桓武天皇が、平安京に遷都します。

これにより、政治から一旦は切り離された仏教に新ヒーローが登場します。

共に遣唐使として海を渡った、最澄空海です。

最澄は、比叡山延暦寺を総本山とする天台宗を開きました。

空海は、高野山金剛峰寺を経て、真言宗を開き、のちに天皇より教王護国寺(東寺)を与えられて後に根本道場としました。

これらの天台宗と真言宗は、大乗仏教の中でも密教という宗派です。

密教とは?

密教とは、大乗仏教の流れの中でおこった宗派です。

教義や作法に秘密の教えがあり、段階を踏まないと教えを得れないことから密教とよばれています。

密教の中でも、空海の真言宗が与えた影響は大きく、一番重要な思想は「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」です。

これは、修行を行うことによって悟りを開き、人が生きたまま仏になれるという考え方です。

これまでの仏教では、輪廻転生を繰り返して長い時間をかけなければ悟りを開けないという教えでした。
それが、密教では生きながらにして悟りを開けるという革新的な教えだったんですね。

鎌倉時代の仏教

平安時代から鎌倉時代に代わり、武士の時代がやってきました。

僧侶と武士の権力争いや、天変地異による疫病や飢餓が蔓延し、民は疲弊していきました。

そうして、このころから修行者ではない、悩みを抱えた市民たちを救う教えを説く「浄土系」を中心とした宗派が広まる事になります。

鎌倉新仏教は主に3つの系統に分かれる

  • 「南無阿弥陀仏」という念仏を唱えれば極楽浄土に往生できるという「浄土系」
  • 「南無妙法蓮華経」と唱える教えで、他宗を否定的な「日蓮系」
  • 坐禅で瞑想すれば悟りを開ける「禅系」

系統宗派開祖
浄土系浄土宗法然
浄土真宗親鸞
時宗一遍
日蓮系日蓮宗日蓮
禅系臨済宗栄西
曹洞宗道元

その後の仏教

鎌倉時代に生まれた新しい宗派も、次第に神道と融合していきます。

神道についてはこちらの記事で↓↓↓

そして、江戸時代には隠れキリシタン対策の為にすべての人が寺の檀家となりました。

これが、檀家制度葬儀を仏式で行う日本の文化に繋がっています。

こうして長きにわたり、政治や市民と深く繋がってきた仏教に転機が訪れます。

明治時代に入ると、明治政府による神道国教化の政策「国家神道」により、融合していた神道と仏教が区別されました。「神仏分離」

それにより神道が重視され、仏教軽視の風潮が高まり、「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」の運動が起こり、仏教施設の破壊などが行われました。

その後、第二次世界大戦を経て、宗教の自由が認められて仏教と神道、その他の宗教が混在するのが今の日本です。

まとめ

仏教とは、歴史や政治とも密接に関係しているものだと思います。

現在では「政教分離」(政治と宗教を一緒にしない)とされていますが、現実ではやはり影響力は残っているのではないでしょうか?

そして、日本の文化にも密接に関わっている仏教や神道について学んでみると、今までとちょっとだけ世界が変わって見えるのではないでしょうか?

神社やお寺についてはこちらの記事で↓↓↓

少しだけでも、この記事がお役に立てると幸いです。

それではまた!

国家資格キャリアコンサルタント 渡邊 和真

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