こちらの記事に興味を持って頂きありがとうございます。
キャリアコンサルタントの渡邊です。
今日は、選挙制度についてお伝えしたいと思います。
おそらく近々行われるであろう衆議院の解散総選挙を見越して、少しでも興味や理解を深めていきたいと思います。
選挙制度ってちょっとややこしくないですか?
衆議院とか参議院とか、比例代表とか、なんだか身近な言葉じゃないですよね?
「聞くのは恥ずかしいし、ネットで調べてもまた難しい言葉が出てきて理解ができない、、、」
「私たちがわざわざ時間を使って一票を入れる意味がわからない、、、」
難しいから、この様に考えてしまう人も出てきてしまいます。
今日は選挙の基本をできる限り簡単にお伝えしたいと思います。
選挙に行く意味
私たちは、国が行う政治に対して、様々な意見をもちます。
「消費税の増税に賛成なのか反対なのか?」
「憲法改正に対してどう向き合うのか?」
「もっと社会福祉にお金を掛けるべき?それとも教育にお金を掛けるべき?」
様々な意見があると思います。
それらの意見を代弁してくれる議員を選ぶのが選挙です。
我々国民の代表者を選ぶ行為が選挙なのです。
しかし、残念ながら日本の選挙の投票率は非常に低いです。
2020年3月時点の世界の国政選挙投票率 国別ランキングで比べてみました。
1位 ソマリア・・・99.9%
2位 ベトナム・・・99.3%
3位 ラオス・・・97.9%
4位 ナウル・・・95.1%
5位 シンガポール・・・93.6%
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148位 日本・・・53.7%
参照:IDEA(International IDEA)
このデータ198ヶ国中で148位と、高いとは言えない順位ですね。
では、主要先進国に絞って見てみましょう。
1位 オーストラリア・・・91.9%
2位 スウェーデン・・・87.2%
3位 ドイツ・・・76.2%
4位 イタリア・・・72.9%
5位 カナダ・・・67.7%
6位 イギリス・・・67.6%
7位 韓国・・・58.0%
8位 アメリカ・・・56.8%
9位 日本・・・53.7%
10位 フランス・・・48.7%
参照:IDEA(International IDEA)
残念ながら主要先進国10か国の中でも9位となっていました。
とはいえ、5位のカナダまでが60%台という事でそれほど差が無いと捉えるか、大きな差があると捉えるかは難しいところでしょうか。
もちろん高い国に特別な理由がある事もあります。
オーストラリアやイタリアでは選挙を義務化されています。
特にオーストラリアは、罰金規定まで設けられていますのでこれだけ投票率が高くなるとも言えますね。
これに対して、スウェーデンを始め、北欧諸国の投票率は義務化が無くても高水準です。
これは、若い頃から政治の話を行い、「当事者意識」が上がっているからだと言われています。
自分たちが選挙を行う事で社会が変わるという認識を持っているそうです。
このまま投票率が上がらないままだと、投票している人達に有利な政治が行われ続けるという事は理解しておく必要がありそうです。
ちなみに選挙に行かないと起こるデメリットはこちらの記事でもう少し詳しく書かせて頂いていますので参照してください。↓↓↓
さて、選挙の種類は、主に「衆議院議員総選挙」「参議院議員通常選挙」「地方選挙」の3つです。
それぞれの内容をお伝えする前に、衆議院と参議院について理解しましょう。
衆議院と参議院
衆議院と参議院とは日本の立法機関です。
日本では、新しい法案が出た場合に、衆議院と参議院という2つの機関で審議し、双方の可決をもって法案が成立します。
これを、二院制と言います。
二院制の長所は主に3つです。
- 議院の人数が増える為、国民の様々な意見や価値観を反映できる可能性がある
- 2つの議院を通して二重チェックを行うので、慎重で見落としの少ない審議が行える
- 権力の集中を避け、足りない部分を補う事ができる
逆に短所は以下の2点です。
- 2つの議院の意見が分かれて行き詰ったり、結論が出るまでに時間が掛かる可能性がある
- 議員数が多い分、コストが掛かる
では、次に衆議院と参議院の違いを見ていきましょう。
衆議院と参議院の違い
衆議院 | 参議院 | |
---|---|---|
465人 | 議員数 | 245人 |
4年間 | 任期 | 6年間 (3年ごとに半数ずつ入れ替え) |
あり | 解散 | なし |
25歳以上 | 被選挙権 | 30歳以上 |
小選挙区 289人 比例代表 176人 | 選挙区 | 全国45区 147人 比例代表 98人 |
衆議院や参議院の仕事は以下の内容になります。
- 国会で話し合う議案の提案
- 国会での法案の審議、議決
- 内閣への問題提起、調査
衆議院と参議院は、ほぼ対等な関係性ですが、衆議院だけが持つ権限が一部あり、それを「衆議院の優越」と呼びます。
- 参議院が法案に異議も申し立てても、特別な条件下において再議決で法案を成立させる事ができる
- 予算案の先議権と一定の条件下で議決権がある
- 内閣総理大臣の指名権
- 内閣不信任決議権(内閣の退陣を求める決議)がある
- 国会の会期延長
- 両院協議会(衆議院と参議院の意見がまとまらない場合に双方の代表議員で話し合う場)の開催請求
「衆議院の優越」の目的は、二院制のデメリットである、議論の行き詰まりを防ぐためです。
衆議院に優越権が与えられている理由は、任期の短さと議員数の多さから国民の意思を反映させやすい議院だからです。
仕事内容以外の違いは、議員数の違いと任期が違います。
衆議院の任期は4年間で、内閣不信任案の可決や内閣が衆議院解散を決定した場合には、任期途中であったとしても解散し、総選挙となります。
参議院の任期は6年間で、3年ごとに半数ずつ選挙によって入れ替えがあり、任期途中での解散はありません。
選挙の種類
改めて、選挙の種類は主に次の3つになります。
- 衆議院議員総選挙
- 参議院議員通常選挙
- 地方選挙
衆議院議員総選挙
衆議院議員の465人を一斉に選ぶ選挙です。
衆議院議員の任期満了(4年)または、先述した衆議院の解散によって行われます。
定数は465人、うち289人が小選挙区選出議員、176人が比例代表選出議員です。(小選挙区選出議員と比例代表選出議員については後ほど説明します。)
参議院議員通常選挙
参議院議員は6年間の任期があり、3年ごとに半数が入れ替わります。
その為、3年に1回、定数の半分を選ぶ選挙になります。
定数は248人、うち147人が選挙区選出議員、98人が比例代表選出議員です。
地方選挙
都道府県知事や市区町村長を選ぶ選挙も、都道府県や市区町村の議院を選ぶ選挙も、任期満了(4年)または、解散や解職によって行われます。
議席数は、都道府県や市区町村によって違います。
また、選挙への意識を高める目的で、統一地方選挙といって、全国の地方選挙の期日を統一して行うようにしています。
ただ、統一地方選挙も、任期途中での解散等により、任期のズレが発生して、実施される地域は全て統一されてはいません。
小選挙区制と比例代表制
日本では、小選挙区制と比例代表制の利点を合わせた制度を採用しています。
その為、衆議院、参議院共に小選挙区選出議員と比例代表選出議員が選ばれる事になります。
では、小選挙区制と比例代表制とはどの様なものでしょうか?
小選挙区制
小選挙区制では、全国を議員定数(衆議院なら289人)の選挙区に分けて、1選挙区から1人の議員を選出します。
メリットは、選挙区が狭く、有権者と候補者の距離が近い分、身近で選びやすい事です。
また、選挙にかかる費用も抑える事ができます。
デメリットは、死票の多さです。
落選者に投じられた票が多い場合には、必ずしも民意を反映した結果であるとは言えない事になります。
更に、1選挙区で1人しか当選しない為、小さな政党では勝ち目が薄いのもデメリットになります。
また、参議院の選挙区制の場合は、定員数147人を、全国45区(鳥取と島根、徳島と高知で1区)に分け、区ごとに定員数が決められます。
小選挙区制よりも選挙区が広がり、1選挙区辺りの定員数が増える事になります。
比例代表制
比例代表制は、原則として候補者個人ではなく、所属する政党に対して投票を行う制度です。
その投票数に応じて、各政党に議席が割り当てられます。
予め、政党ごとに当選する候補者の順位が決められており、割り当てられた分の議席の数だけ順番が上の候補者から当選します。
メリットは、死票が減り、民意を反映させやすくなります。
それにより、小規模な政党も議席を確保する事ができます。
デメリットは、多くの政党が当選する事で、議論が進展しづらくなる可能性があります。
候補者の選び方
選挙の違いや制度を理解した上で、誰に投票するのかも重要です。
芸能人とは違い、政治家を身近に感じている人は少ないでしょう。
でも、せっかくの機会ですから、選挙期間中くらいは、候補者の発言に耳を傾けてみるのも良いのではないでしょうか?
候補者の選び方の例は以下の様なことが考えられます。
- 候補者のHPを見る
- 候補者のSNSを確認する
- 街頭演説に耳を傾けてみる
- 選挙情報のサイトで確認する
情報を得られるサイトとしては「選挙公報」が有名です。
選挙が近くなれば、○○選挙公報で検索すれば出てきます。
それ以外では、個人的に「選挙ドットコム」というサイトが使いやすいと感じました。
選挙情報はもちろん、政治家のデータとそのHPやSNSのリンクもあるので、ここから候補者を探せば簡単かもしれません。
よし、選挙に行こう!
さて、今日は選挙についてお伝えさせて頂きました。
投票に行こうとしても、
「政策とかわからないし、、、」
「一票入れたところで変わりなさそうだし、、、」
という方もおられると思います。
最初は、政策とか深く考えずに感覚で選んで良いと思います。
そしてその候補者が当選したか確認しましょう。
当選していれば、きっとその後どうしているか、多少は気になるはずです。
そして、友達と選挙についてちょっと話をしてみましょう。
「なんとなくシュッとしてたから○○さんに一票入れた!」とかで良いんです。
その様なちょっとした興味から、徐々に理解が深まるものだと私は考えています。
是非次回の選挙には、気軽に参加してみましょう。
また、こちらの記事で政治についても簡単解説しておりますので、ご参照ください。
それではまた!
国家資格キャリアコンサルタント 渡邊 和真