こちらの記事に興味を持って頂きありがとうございます。
キャリアコンサルタントの渡邊です。
今日は、企業理念についての話です。
先日、アウトドアブランドのパタゴニアに行った際の話です。
ちなみに私は通販で買ったシャツを持っている程度の「にわか」ではありますが、パタゴニアの環境への配慮への取り組みが有名な事は知っていました。
実際に店舗で商品を購入して「徹底しているなぁ」と感じたのですが、レジで「このままのお渡しでも大丈夫ですか?」と聞かれたんです。
「そのままって言われても僕チャリなんですけど?」服を手に抱えてチャリで帰るのは少々スキルがいりそうです。
アパレルショップで袋に包んでもらえないのは珍しいなぁと思ったのですが、確かにコンビニでもレジ袋が有料になった時代ですから「アパレル業界も有料化なのか?」と思ったらそうではありませんでした。
詳しく話を聞くと、完全に買い物袋は生産しておらず、どうしても持ち帰りの袋が必要な方には、中古の袋を100円で貸し出しているそうです。
その袋を再度店舗に持っていくと100円返してもらえ、また別の袋が必要な人に貸し出されるそうです。
ここまで徹底しているなら少しくらいは協力しようかと思うもので、後日きちんと袋は届けて100円を返金してもらいました。
パタゴニアに一定のファンがいる事は知っていましたが、こうした企業理念に沿った活動も1つの要因なのかもしれませんね。
こういった企業理念とそれに合わせた取り組みが徹底されていると、良くも悪くも認知が高まります。
パタゴニア=環境問題にも積極的に取り組みながらビジネスをする
トヨタ、ソフトバンク、ファーストリテイリングなど名前を知っている会社は沢山ありますが、パタゴニアのように会社名とビジョンが結びついている会社って意外と少ないんではないでしょうか?
パタゴニアの企業理念
実際にパタゴニアの企業理念はどの様なものなのでしょうか?
私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む
「環境問題にも積極的に取り組みつつ、ビジネスを行う」ならばわかりますが、「地球を救うためにビジネスを営む」とは一体どういう事でしょうか?
地球を救うためにビジネスを営むとは?
地球を救うためのビジネスとはどの様な取り組みなのでしょうか?
- 耐久性の高い製品を製造し、かつ修理を推奨
- リサイクル可能な原料を使用
- フェアトレードや寄付への積極的な取り組み
耐久性の高い製品を製造し、かつ修理を推奨
パタゴニアでは、高品質で耐久性の高い製品を製造し、更に修理しながら長く使用する事を推奨しています。
耐久性の高い商品を製造し、買い替えではなく修理を推奨する事で、エネルギーの無駄な消費やゴミの発生を最小限に抑えるように努めています。
リサイクル可能な原料を使用
次に、全ての商品を100%リサイクル可能な原料への切り替えを進めています。
実際に2025年までに「すべての製品には再生可能素材、もしくはリサイクル素材のみを使用する」という目標を掲げています。
フェアトレードや寄付への積極的な取り組み
フェアトレードの取り組みや寄付にも積極的です。
貧困のない公正な社会をつくるために、途上国の経済的に弱い立場にある生産者と経済的に強い立場にある先進国の消費者が対等な立場で取引する取り組み
フェアトレード製品の売上の一部が、途上国の工場労働者に直接送られるシステムを導入しています。
さらに、売上の1%を自然環境の保護/回復のために寄付しています。
地球大賞を受賞
このような取り組みが評価され、2019年には国連で最高の環境章である地球大賞を受賞しました。
地球大賞は、国連環境計画が毎年開催しており、その行動が環境に対して良い影響を与えた政府や民間企業、市民社会の優れたリーダーなどに授与されます。
この「企業ビジョン部門」にパタゴニアが選出されました。
こういった環境理念に基づく積極的な活動が、パタゴニアのファンをつくっている要因になっていそうですね。
アンチも多いパタゴニア
ここまでは、パタゴニア信者かと言われてもおかしくないほどの魅力を伝えましたが、実はアンチも多いのがパタゴニアです。
- 企業理念が偽善的
- 日本市場での価格設定
- シーシェパードに資金提供していた
- アメリカ軍に製品を卸している
企業理念が偽善的
これまでご紹介してきた様な取り組みが偽善的だという意見もあります。
確かに、「ビジネスは顧客にサービスを提供して対価を貰う」という事を追求すべきという考え方もありますね。
日本市場での価格設定
パタゴニアは少し高めの値段設定で、アウトドアブランドとしてはハイブランドのポジションを確立していますが、実はアメリカと日本では1.5倍から2倍近くの金額差があるようです。
「自社工場生産で商社を通しての卸売り」なら分かりますが、「中国の下請け工場生産で卸売りではなく直販のみ」にも関わらずこの金額差は、日本人をバカにしていると捉える人も多くなってしまうのも理解できます。
シーシェパードに資金提供していた
パタゴニアには、人種差別的テロリスト集団のシーシェパードに資金提供していた過去があります。
自然保護団体グリーンピースを脱退した人物が設立した、表向きは海洋環境保護団体。
実態は、海洋生物保護を名目に過激な活動をしている人種差別的テロリスト集団で、アメリカ連邦高裁で海賊認定を受けており、代表のポール・ワトソンはICPOの国際指名手配犯となっている。
一番、イメージを悪くしているのはこの理由が多いようです。
シーシェパードは日本ではかなりイメージが悪い存在です。
決められた範囲内で捕鯨をしている日本に対して、反捕鯨を掲げて危険な妨害活動を行っている事がニュースになっていました。
更に東日本大震災では、メンバーの6人が被災したものの住民が援助したのに対し、代表のポール・ワトソンは「震災が起きたのは天罰だ!」というありえない発言をしました。
こうした過激なテロリスト集団に資金提供していた過去があるパタゴニアに対して良くないイメージを持つのも当然かもしれません。
一応、資金提供していたのはアメリカで海賊と認定される前の話で、現時点での支援は無いとしています。
アメリカ軍に製品を卸している
企業としての営利部分が出ているのがアメリカ軍に製品を卸している事です。
人命を奪う軍隊に商品を納入しているのは、企業理念と矛盾しているのでは?と考える方も多いようです。
こういった言行不一致な部分が、より偽善的な企業に映る原因になっています。
賛否両論という成功
このように、印象的な企業理念と極端な企業活動で多くのファンを獲得している反面、多くのアンチもいるのがパタゴニアという企業です。
創業者のイヴォン・シェイナードは次のような発言をしています。
もし世の中の50%の人に嫌われていないのだったら、差別化の取り組みが甘いのだ
パタゴニア創業者 イヴォン・シェイナード
確かに、知名度のあるタレントには必ずと言っていいほど、一定数の嫌いな人がいます。
これだけファンもアンチもいるパタゴニアは、発信するメッセージが浸透している証拠で、差別化ができているという事に他ならないのだと思います。
日本の企業で、このくらい強烈にメッセージのある企業理念を放ち、ファンだけでなく、アンチもいる企業はあまり思い浮かびませんね。
強いて上げるならソフトバンクとかでしょうか?
すべての人に好きになってもらう事ではなく、賛否両論を目指すというのも1つの正解なのかもと考えさせられました。
パタゴニアの活動に興味のある方はこちら(別タブで開きます)↓↓↓
https://www.patagonia.jp/home/
ここまでお読みいただきありがとうございます。
この記事が、あなたのキャリアにプラスになれば幸いです。
それではまた!
国家資格キャリアコンサルタント 渡邊 和真