こちらの記事に興味を持って頂きありがとうございます。
キャリアコンサルタントの渡邊です。
今日は「LIFE SHIFT」という書籍について書きたいと思います。
サブタイトルは「100年時代の人生戦略」
最近では「人生100年時代」という言葉が浸透しつつありますが、そのキャッチ―なコピーを広めたのがこの書籍と言えます。
2016年に発売の書籍ながら「人生設計における教科書」のような立ち位置として各メディアでも使用され続けています。
この人生100年時代において何が変化するのか?
それに合わせて自分たちがどういう戦略を立てて生きるべきなのか?
これらを教えてくれる良書なのですが、ボリュームのある書籍なので「手を出しづらい」「難しそう」という話も良く聞きます。
そこで今日は、重要なポイントをまとめて要約と解説を行っていきたいと思います。
LIFE SHIFTとは?
ライフシフトとは、長寿化によって変化した時代に合わせて人生の歩み方や向き合い方が変える事を指します。
本書では、次の2つのデータが紹介されています。
- 2007年生まれの日本の子供の約半数が107歳まで生きる(下図1-1)
- 平均寿命1位の国の寿命は一貫して伸び続けている(下図1-2)
これらのデータから、今の若い世代やこれから生まれてくる子供たちの多くが100歳以上生きるのが普通になるという事です。
もちろん若い人だけではありません。
現在の日本人の平均寿命は84歳くらいですが、10年で2歳ほど上昇しています。
例えば現在が40歳の人も平均寿命までに40年以上あるのですから、データを鵜呑みにするならば、その頃には平均寿命は90歳を超えている事になります。
この長寿化により、人生の生き方(ライフキャリア)や望む姿勢に変化が求められるようになります。
では、人生100年時代においてどの様な変化が起こるのでしょうか?
100年時代において何が変わるのか?
100年時代においてライフキャリアの歩み方が次の図の様に変化します。
本書において今までのキャリアを「3ステージ制」、これからのキャリアを「マルチステージ制」と呼んでいます。
- 教育(20歳前後まで)
- 仕事(20代~60代)
- 引退(60代以降)
20歳前後までは学校教育という第1ステージ、そこから就職して定年まで働く第2ステージ、定年後に引退して余暇を過ごす第3ステージというこれまでのスタンダードなライフキャリアを指します。
これが長寿化により、「お金」「時間」「人間関係」が変わる事でマルチステージ制に変化するという事です。
マルチステージとは、多様な人生を送る事です。
- 組織に所属する仕事
- 組織に所属しない仕事
- 自分探し
- 学び直し
- ボランティア活動
- コミュニティでの活動
これらを、人生のそれぞれのステージに合わせて変化させたり、複数を並行して行ったりするのがマルチステージです。
マルチステージ制で登場する新しい3ステージ
本書ではマルチステージ制で新しく登場する3つのステージが紹介されています。
- エクスプローラー(探検者)
- インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)
- ポートフォリオ・ワーカー
エクスプローラーとは?
エクスプローラーとは、新しい発見を求めて旅をするステージです。
実際に旅を行うだけでなく、新しい事に挑戦したり、新しい人との出会いを求めたり、自分の価値観や経験をアップデートする活動を行うステージを指します。
インディペンデント・プロデューサーとは?
インディペンデント・プロデューサーとは、自分で何かを生み出すステージです。
起業家はもちろんですが、フリーランスやコミュニティで新しい経済活動を行う場合もインディペンデント・プロデューサーのステージです。
ポートフォリオ・ワーカーとは?
「本業+副業」「仕事+ボランティア活動」などの複数の活動を並行して行うステージです。
人生で1つの事に打ち込む時期があれば、その1つについて知識や経験が溜まりスペシャリストとなる事ができます。
しかし、様々な活動を同時並行する事で広い知見や価値観を得る事ができる、それがポートフォリオ・ワーカーです。
新しい3つのステージをご紹介しましたが、実際にここ数年で以下のようなキャリアを積む方が増えてきています。
- 副業する人
- フリーランスとして働く人
- 起業家
- 社会人として新たな学びを得る活動を行う人
- 社会人コミュニティに所属している人
- 就職活動をしない学生
- これらを同時に複数行う人
こういった変化を感じている方も多いのではないでしょうか?
そしてこうした活動は、年齢問わずにステージを選ぶ事ができるのも特徴的です。
今後はさらにこうした動きが加速していく時代に入ります。
マルチステージを生き抜く為にも私たちも考え方を変えていかなければなりません。
100年時代のキャリアに必要な要素
では、実際に変化する時代に私たちが行うべき事はどの様な事なのでしょうか?
本書では、以下の2点が大事だと書かれています。
- 金融リテラシーを上げる
- 無形資産を築く
金融リテラシーを上げる
長寿化が進むと使える時間が増える代わりに一生に必要なお金が増えてしまう事になります。
少し前の話ですが、「老後二千万円問題」が世間を賑わせて不安を感じた方も多かったですよね。
しかし、不安に感じただけできちんと学び、調べた人はどれだけいたでしょうか?
お金の問題となると「ややこしい」「わからない」と何となくで済ましてしまいがちですが、残念ながら長寿とお金は切り離せない問題です。
「無知」=「不安」
まずは、学び、知る事ができれば対策も立てる事ができます。
できる事から始めてみるのが良いのではないでしょうか?
本書で書かれている内容ではありませんが、まずは以下の3つから始めてみる事をオススメします。
- お金についての本を読む
- 家計簿をつける(アプリ導入)
- 少額から投資を始めてみる(iDeCo・NISAなど)
無形資産を築く
長寿とお金は切り離せない問題とは言いましたが、お金そのものを目的としている人は少ないはずです。
お金は人生を豊かにするツールの1つに過ぎません。
その為、お金や仕事について考えるだけでは人間の本質を見失ってしまいます。
そこで焦点を当てるのが「無形資産」です。
無形資産とは、家族や友人、スキルや知識、健康などの形がなくて市場では売買できないが、人生を豊かにしてくれるものを指します。
本書では、この無形資産を3つのカテゴリーで示しています。
- 生産性資産
- 活力資産
- 変身資産
生産性資産
生産性を上げて、所得を増やす事に役立つ要素を生産性資産と呼びます。
- スキルや知識
- 人間関係
- 評価や評判
高いスキルや知識は当然仕事に直結する要素となります。
それ以外にも、強い人間関係から仕事が生まれる事がありますし、協力関係から高い生産性が生み出される場合もあります。
さらに評価や評判の高い人物には、良いチャンスが巡ります。
SNSの活用によるフォロワー数などもこの評価や評判と考える事ができますね。
活力資産
幸福感や充実感をもたせ、やる気をかき立て、前向きな気持ちにさせる要素が活力資産です。
- 体と心の健康
- 友人や家族
100年時代を楽しむ為にも、近年は「健康寿命」というキーワードが取り沙汰されています。
仕事もプライベートも健康があって成り立つものです。
そして、深く結びついた人間関係である友人や家族は、支えややすらぎといった前向きな要素をもたらしてくれる存在です。
変身資産
人生の新しいステージへの移行を成功させる意志と能力を変身資産と呼びます。
- 自己理解
- 開かれた姿勢
変化の多いマルチステージにおいては、必然的に選択肢が増える分、悩み、迷う事が多くなります。
そんな中、自分を理解している人は、人生に意味と一貫性をもたせやすい為、マルチステージにおいても迷わずに進む事ができやすくなります。
そして、マルチステージにおいての多様な組織や人的ネットワークから多くの刺激を受けても、開かれた姿勢が無ければ変身する機会を失ってしまいます。
まさに今、時代が変化しようとしている状況に一番必要とされるのが変身資産かもしれませんね。
最後に
今日は「LIFE SHIFT」について書かせて頂きました。
ライフシフトは、長寿化によって変化した時代に合わせて人生の歩み方や向き合い方が変える事です。
ライフシフトのポイントは、2つ
- これまでの教育・仕事・引退の3ステージ制から多様な人生を送るマルチステージ制に移行していく
- マルチステージ制の中では金融リテラシーに併せて無形資産を築く事が重要となる
「100年時代って本当に来るの?」というように、「100年時代」という言葉がキャッチ―な事から寿命が100歳まで伸びるかどうかが議論に上がりやすいですが、それはこの本の本質ではありません。
時代がマルチステージ制に移行している事は事実で、そこに我々はどの様な人生戦略を立てるのかが重要な事は間違いなく、その危機感を高める事とその対処がこの本の本質です。
もっと深く知りたい方は是非とも手に取ってみてくださいね。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
この記事が、あなたのキャリアにプラスになれば幸いです。
それではまた!
国家資格キャリアコンサルタント 渡邊 和真