キャリアドリフトという考え方

以前、キャリアデザインの重要性に関する記事を書かせて頂きました。

キャリアデザインとは、自分の理想を実現する為に、自分らしい人生を設計する事です。

キャリアデザインの重要性に関する記事はこちら

働き方の多様化が求められる時代においてキャリアデザインは重要だと考えておりますが、そんな中でもこんな声も聞こえてきます。

「明確な理想像が無い人はどうするの?」

「将来のキャリアをイメージしてたけど、予期せぬ出来事で変わってしまった」

「10年後や20年後の事なんて今から考えてても変わるのでは?」

「やりたい事」が明確じゃない場合や、10年後や20年後の事を考えていても仕方ないという価値観の人の場合は、定型通りのキャリアデザインは難しいですよね。

そんな価値観の方々におすすめのキャリアデザインの方法はないかと模索していたところ、素敵な考え方がありましたのでご紹介します。

その名もキャリアドリフト!

キャリアドリフトって?

自身のキャリアについて大きな方向づけさえできていれば、明確なキャリアプランを決めず、人生の節目ごとに起こる、偶然の出会いや予期せぬ出来事を、チャンスとして柔軟に受け止めましょうという考え方で、キャリアデザインの一つの手法。

神戸大学大学院の金井壽宏教授が提唱している理論です。

やりたい事が無いのに、明確な理想像を考えろと言っても難しいですよね?

変化のスピードが早くなった昨今、10年後や20年後の将来を想像するのもかなり難易度が高いです。

だからこそ数年に一度の節目において、キャリアデザインの方向性だけ定め、流れに身を任せて、偶然の出来事や出会いをチャンスとして活かそうという理論です。

キャリアの可能性を広げる考え方ですね。

スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授の提唱する「計画的偶発性理論」にも通ずる理論です。

少し、横道に逸れてしまいますが、好きな理論なのでちょっとだけご紹介しますね。

計画的偶発性理論

「計画的偶発性理論」は、「個人のキャリアは予期しない出来事の積み重ねで作られる」という理論です。

理論の要点は、

・個人のキャリアの8割は予想しない偶発的な事によって決定される。

・偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良い方向に導く。

予期しない出来事をただ待つだけではなく、自ら創りだせる様に積極的に行動したり、周囲の出来事に神経を研ぎ澄まさせたりして、偶然を意図的に呼び込んだり、計画的にステップアップの機会にするべきだという考え方です。

偶然を意図的に呼び込むために必要な行動指針が5つあります。

好奇心:たえず新しい学習の機会を模索し続けること
持続性:失敗に屈せず、努力し続けること
楽観性:新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
柔軟性:こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
冒険心:結果が不確実でも、リスクを取て行動を起こすこと

この「計画的偶発性理論」も変化の激しい時代において、あらかじめキャリアを計画する事の限界から生まれた理論です。

「キャリアドリフト」と同じですね。

まとめ

2005年のスタンフォード大学の卒業式にてスティーブ・ジョブズ氏のスピーチに次の様な一節があります。

将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。

できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。

「ハングリーであれ。愚か者であれ」ジョブズ氏スピーチ全訳 米スタンフォード大卒業式(2005年6月)にて

このジョブズ氏のスピーチで、2つのエピソードが紹介されます。

・学費が苦しくなり退学し、興味が赴くままに潜り込んだ「カリグラフ」の講義が10年後のマックの設計に役に立った事。

・自身が立ち上げた「アップル」という会社から追い出される事によって挑戦者としての創造性を取り戻し、新たな事業で成功した事。

どちらも計画した経験ではなく、偶然をチャンスに変えたエピソードです。

そして「計画的偶発性理論」における5つの行動指針がとてもしっくりくるエピソードですね。

目的を定め、明確な「キャリアデザイン」をする事は、キャリアにおいてとても重要な事だと思います。

その中で、遠い将来まで明確にならない場合は、方向性のみ定めて、偶然をチャンスに変える「キャリアドリフト」という考え方をうまく取り入れてみるのも良いのかもしれませんね。

以上、「キャリアドリフト」について考えてみました。

それでは、また!

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