GWも明けましたが、まだしばらくは自粛ムードが続きそうですね。
様々な業界にも影響が大きく広がっています。
私はキャリアコンサルタントという、人の仕事の選び方についてアドバイスをする仕事をしています。
最近の自粛ムードの影響で、自分と向き合う時間ができ、キャリアを見つめ直す方が増えてきています。
今日は、そんなキャリアに迷う方々に仕事選びで大事なことは何なのかをお伝えしたいと思います。
そもそも何のために働くのか?
私はよく、就活生や転職希望者に「あなたは何の為に働くんですか?」と聞かせてもらいます。
すると多くの人が、「生活のお金を稼ぐため。」と答えます。
生きていく為にはお金が必要になりますし、欲しいものを買うためにもお金は必要です。
自身が満足するお金を稼ぎつつ、それを使いプライベートを充実させる。
とても現実的な答えだと思います。
お金を稼ぐ為として割り切って働くなら楽な方がいいでしょう。
残業も少なくて休みもきちんと取れて、できる限りストレスの少ない環境に身をおきたい。
こう考えるのも自然な事だと思います。
ですが、世の中の先人達は「夢を持て!」とか「やりたい事を仕事にして熱中する方が幸せになれる」と言ってきます。
さて、「仕事はお金を稼ぐための手段」と割り切ってキャリアを決めるのは良くない事なんでしょうか?
割り切って仕事をして感じたこと
実は先日、転職相談を受けた方から感じたことがとても印象に残っております。
その方は田中さん(仮名)26歳の入社4年目。
一般的には高学歴な部類に入りますし、仕事も大手食品メーカーのルート営業の仕事をしておられます。
営業と言っても厳しいノルマはなく、担当顧客との関係性を築く事ができれば安定して売上が上がるそうで、新規顧客の獲得に走り回る事もないそうです。
おまけに休みもしっかりとれて残業も少なく、給与も同年代の平均年収を上回っています。
なんか、人によってはうらやましくなるような環境ですね。
では、何故相談に来られたのでしょうか?
当初、田中さんも「仕事はお金を稼ぐための手段」と割り切って楽で条件の良い仕事をしたいと考えて就活したそうです。
希望通りの仕事に就く事ができ、満足していたそうです。
ですが、徐々に不安が募る事になったそうです。
理由は大きく分けると2つ。
1つ目は、仕事がつまらない事。
営業という仕事ではあるものの、会社の人達は上昇志向が薄いと感じる事も多く、数字を必死に追いかける様な状況はあまりないそうです。
仕事をしていて自分だからこの仕事が上手くいくという感覚もないそうで、作業感が強くて徐々に物足りなさを感じていくようになっていきました。
1日8時間、週に5日という時間、日々のルーチンワークをこなして毎月大きく変わらない売上をあげる仕事に対して、年々これで良いのかという思いが強くなっていったそうです。
2つ目は、成長を感じられない事。
人は環境で成長します。
ゆるい環境では成長を感じる事も少ないそうです。
同年代の友人と話をしていても、最初の頃は仕事の愚痴をこぼす友人達を見て「みんな大変そうだな」と思っていたそうです。
ですが、歳を重ねて友人達が苦悩しながらも成長している姿を見ている内に、不安を感じ始めます。
「自分はあまり成長していないんじゃないか?」
「このままこの仕事を続けて5年、10年経った時に価値のある人間になれているだろうか?」
こんな風に感じる様になり、徐々に仕事にやりがいや成長という要素が必要だと感じる様になったそうです。
あなたはどう思いますか?
「最初からお金を稼ぐ手段で割り切って仕事を探すのは間違いだったのでは?」
「隣の芝生は青く見えるってやつだから辞めるの勿体ないんじゃないの?」
私が仕事選びでただ一つ大事にして欲しいと思う事
私は、今の自分が最善と思う方向に舵を切っているので良いのではないかと思っています。
キャリアの選択というものは、どんなにきっちり目標を立てて設計しても、成長や環境で変化していくものです。
その時その時で自分に正直に選ぶしかないものでもあります。
田中さんは「仕事はお金を稼ぐ手段」という考えを持ちながら、ファーストキャリアでやりがいや成長を優先していたら果たして満足したのでしょうか?
ファーストキャリアで楽な仕事を優先して最初の会社に勤めたからこそ、今の価値観に気付いたとも考えられませんか?
考え方や価値観は人それぞれであり、成長によって変化していくものです。
明確な夢を持つ人間が、将来も同じ夢を追いかけ続けるとは限りません。
私はどんな基準で仕事を選んでも良いと思います。
「仕事はお金を稼ぐための手段である」という考え方も良いと思います。
それで一生を満足に過ごせる人もいるかもしれませんし、途中で方向転換するかもしれません。
私が思う仕事選びで大事なのは、その時の自分の思いに素直になり自分で決める事。
周囲の声に流されず、本当に自分の素直な気持ちに従っているなら間違いなんてないと思います。
間違えたと思うならその時から違う道に進めばいい。
私も20代後半まで迷いっぱなしの人生でした。
今もかもしれません。
正直、過去を振り返り、「失敗したな」と後悔する事もあります。
それでも今の自分が出来上がるのに必要な道のりだったのではないかとも思います。
自粛期間で自分のキャリアを考え直そうとしている方は、是非とも自分の素直な気持ちを大事にしてみて下さい。
周囲の声に流されず、自分で選び、決断してください。
考え抜いたその選択肢に間違いなんてありません。
応援しております。
国家資格キャリアコンサルタント
渡邊 和真